郡司 彰
ぐんじ あきら
参議院議員/茨城選挙区

[2003年11月25日]

■行政の無策に憤りを感じる 〜かみのやま競馬を訪れて〜
 山形県上山市、温泉と斉藤茂吉そして競馬で有名な地方都市です。正確には「であった」と言うべきでしょうか。市最大の産業として市勢発展に大きく貢献して来た、かみのやま競馬が11月11日、廃場をしたからです。

 私は民主党公営競技政策議員懇談会(千葉景子会長)の事務局次長(事務局長は山元勉氏で今次総選挙にて勇退)を任じられており、全国競馬連合(橋本守勝会長)の皆さんと一緒に11月23、24日に上山市を訪れました。

 同競馬場は昭和33年から45年間に亘り、計176億円を競馬特別会計から一般会計に繰り入れし、全国でも有数の裕福な自治体として名を馳せ、最盛期には上山城まで復元しました。実は地方競馬が廃止となるのは上山市が初めてではありません。以前にも2ヵ所程が廃場の憂き目に遭いましたが、昨年大分県中津競馬場からの4例は、これまでと違い長期不況下における構造的なものと言えます。

 元々、競馬は中央(JRA)と地方(NRA)に分かれています。JRAがTV等マスコミに大々的に取り上げられ、スター騎手が芸能紙面を飾るのと対照的にNRAは地味な競馬ファンに支えられ、地域に密着した存在として成り立って来ました。

 設置を認可するのは農水省ですが、実際の運営には総務省(旧自治省)が管轄する形を取ります。農水省の所管である競馬法は先に競馬場があり、後追いの形で法整備がされた経緯があると聞いていますが、往時はまさか公営ギャンブルが赤字に転落することを想定しておらず、同法には廃止に伴う規定はなく、勿論、経営としては常識とも言える損金や基金積立の規定もありません。

だから、経営が赤字に転ずると各自治体は「税金をギャンブル存続の為に投ずることはできない。」との論になり、廃場へと一気に進む事になります。
その際、話が複雑になるのは関係者相互の雇用関係が、一般には仲々理解できない形態を取っている点が挙げられます。

 先ず関係者には、競馬サークルと呼ばれる馬主、調教師、騎手、厩務員が居て、他には売店、食堂、公社職員、競馬専門紙、実況放送、その他の人達が居ます。その内、競馬サークルだけを見ても馬主は調教師を雇用し、調教師は厩務員を雇用するのがこの世界の雇用形態である為、多くの地方競馬では社会保険や退職金制度を含め、いわゆる保証がない人達が多いのです。

 行政は法制上は何ら補償する義務すらなく、例えば一番数の多い厩務員は、こうした時に何をだれと交渉するのかさえ定められてはいない為、これまでの場合、行政(主催者)は見舞金として補償を行うのが通例?となっており、赤字が廃場の原因となれば、当然のように見舞の額も世間一般の会社都合≠ノよる解雇時とは比べようもない低いものとなっています。

 一方で、親子ともこの世界しか知らない人達も多く、他業種への再就職も想うに任せないというのが一般的で、こうした現実に向き合うときの私は虚しさを拭いきれません。特別な事例として対処法制をと考え、議員立法の形での準備をしてはいるものの、可能なら存続できないかとの葛藤で宙に浮いた形となっています。

 しかし、こうした事態を見越して対策を講ずることなく急転、廃場をのみ打ち出す行政の態度を見ていると金色夜叉の、「金の切れ目が縁の切れ目」とばかりに責任を放棄する姿勢に、この国には企業だけでなく、行政にもモラルハザードが生じていると憤りを新にしています。
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