郡司 彰
ぐんじ あきら
参議院議員/茨城選挙区

○国務大臣(亀井善之君) 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げます。
 農協系統は、農業者の協同組織として、組合員に対して営農及び生活に関するサービスを総合的に提供してきたところでありますが、今後とも組合員や消費者のニーズ等に的確に対応し、地域農業の振興等についてより積極的な役割を果たしていくことが期待されているところであります。
 また、農業協同組合が行う共済事業及び農協系統の信用事業等に係る保証を行う農業信用基金協会の事業について、その健全性の確保を図っていくことが重要であります。
 このような状況を踏まえて、農協系統の改革に向けた自主的な努力を支援するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農業協同組合法の改正であります。
 組合員や消費者のニーズの変化、改革が急務となっている経済事業の見直し、信用事業及び共済事業の高度化、複雑化等に対応するため、全国中央会が中央会の行う指導事業に関する基本方針を策定、公表することとするほか、農業協同組合に対する決算監査等の機能を全国中央会に集約することとしております。
 また、農業協同組合が行う販売事業につきましては、農業協同組合間の連携を通じてその充実を図るため、農業協同組合が定款の定めるところにより自己の組合員の農産物と他の農業協同組合の組合員等が生産した農産物を併せて販売する場合、員外利用規制の対象外とすることとしております。
 さらに、農業協同組合の経営状況についての組合員自身による適正な判断、行政による適正な監督等に資するために、全農・経済連等について一層の経営情報の開示を義務付けることとしております。
 このほか、農業協同組合が行う共済事業につきましては、その経営の健全性の確保を図り、共済事業の利用者の保護及び機動的な事業運営を確保するための措置を講ずるとともに、共済利用者の保護の観点から契約条件の変更を可能とする手続の整備等を行うこととしております。
 第二に、農業信用保証保険法の一部改正であります。
 農協系統の信用事業等に係る保証を行う農業信用基金協会の健全な運営に資するため、主務大臣は基金協会がその経営の健全性を判断するための基準を定めることができることとする等の措置を講ずるとともに、基金協会が合併・事業譲渡を行うことができることとしております。
 以上、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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○議長(倉田寛之君) 
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。郡司彰君。
   〔郡司彰君登壇、拍手〕


○郡司彰
 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま議題となりました農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産大臣に質問をいたします。
 法案の審議に先立ちまして、食の安全ひいては農政そのものに対する信頼を大きく損なう事態を招来しているBSE発生後の牛肉買上げ事業についてお伺いいたします。
 この事件は今も連日のようにマスコミをにぎわしており、その中で特定の政治家の名前が取りざたされたり、農水省職員の関与が報道されています。このような事態の中で、農水省が提案しているすべての法案について国民の多くは懐疑的になっております。
 亀井農水大臣は、さきの委員会で私の同様の質問に対して、厳正に対処してまいりたい旨の答弁をされましたが、改めて国民の皆様に説明責任を果たしていただきたいと考えますが、答弁をお願いいたします。
 さて、提案の農協法改正案は、本法案のみで全体が理解できるものではありません。私は平成十年に参議院議員となりましたが、翌年の十一年には食料・農業・農村基本法が成立をし、十二年の第二十二回JA全国大会、十三年の農協改革二法、十四年の「食」と「農」の再生プラン、同年の農協のあり方についての研究会設置、十五年の同研究会による農協改革の基本方向の取りまとめと続き、昨年十月の第二十三回JA全国大会で動き出した一連の動きと歩調を合わせる格好となっています。
 今年は一八四四年に英国のロッチデールで二十八名によって協同組合運動が発足をしてちょうど百六十年目、また、一九四七年の農協法制定より五十七年目となりますが、国際的な協同組合原則とは若干異なる発展を遂げてきた日本版の農協の検証から始めることが必要ではないかと考えています。
 事業ごとの詳細にわたる質疑は委員会に譲ることとし、以下の点について質問をいたします。
 日本の農協は、戦前の農会時代を含め、幾多の困難な時代を農民の経済的利害を軸に結合され、階層として貧しさからの脱却を図ってきました。つまり、農業生産の向上に直結する営農指導、経済事業や農家組合員の生活全般にわたる各種事業を総合的に実施し、農業生産の基盤であります農家経営を支え、ひいては地域の雇用・産業や地域社会に大きく貢献したことは確かであります。その中で、農民の声を政治に反映させる手段としての、圧力団体としての側面と併せ、政府の施策を代行するという役割を背負ってきました。
 このことは、これまで行政は安易に系統を利用してきたと農協改革の基本方向で農水省自身も認めている点ですが、こうした国際的協同組合原則からいえば、行政からの中立を求めるべき農協に逆な立場を政策的に取ってきたことへの反省は十分になされているのかを農水大臣にお尋ねします。
 また、日本型農協の特質としての地域性、総合性、系統三段階制について変化を求める声が上がっていますが、この点について、一方的に農協にその責任を帰すことはできないのではないかと考えますが、これから指導する観点からの答弁を求めます。
 協同組合原則は政治的中立を求めています。今般の法改正に当たり、行政代行的業務の見直しを進める一方で、次の点はどう見直しをすべきでしょうか。あらゆる階層、業界、地域代表が政治に期待をするとき、時の政権に要求をするのは当然の理であると思います。しかし、我が国においては、不幸なことに政権交代を可能とする政治状況が長い間存在しませんでした。農民層においても、農協を窓口として農政活動をする過程で政権政党イコール自民党という構図が定着し、日常ふだんに自民党との太いパイプを作る、あるいは農協そのものが自民党と同一視されるように変質したことを騒ぎ立てるものではありません。
 問題は、この変化を求める時代に、農水省が農協を特別扱いすることを見直そうとする法案を提出するに至ったにもかかわらず、事選挙に関しては、これまで同様、農家に農水省OBの支援を求める政治の側の体質であります。
 今回の法改正では、農協系統以外の生産者団体のイコールフッティングの必要性が指摘されていますが、これまでの行政代行的業務を通じた補助金の種類はどれほどだったのか。今度は、補助金と絡めたと取られかねない選挙運動を改めるべきことが日本における協同組合運動の正しい方向と考えますが、大臣の御見解をお尋ねいたします。
 本来、農協自らが行うべき改革を、農協法という制度レベルで変えようとすることに現在の農協の悩みが現れています。農家組合員の意識の中には、何のために加入をするかという自覚よりも、生まれながらにして組合員であったとの思いがあり、また、系統三段階は他の生協などと異なり、行政の三層構造に照応したピラミッド型で、上意下達はうまくいくが、参加意欲を失うことにもつながっています。
 そのような中で、農協は幾つかの事業を行っていますが、経営の実態は信用事業の構造的な黒字と経済事業の赤字と言われています。信用事業は、余裕金、預り金の外部運用で利ざやを稼ぎ、特利、特配として単協へ還元されています。しかし、現在は、信用事業も他の金融機関同様、低収益、高リスクの時代に入っており、現在の収益バランスを変えることが不可欠であります。
 私は、これまでも農業センサスを生かせる地域ごとの具体的事例ごとの波及効果を促すべきと主張してきました。今般の農政改革基本構想にはそのことも触れていますが、そのためには、霞が関での全国の一律農政では、気候を始め各種条件の異なる日本農業の実態には合いません。思い切った分権型農政への転換が必要と考えますが、大臣の考えをお聞かせください。
 あわせて、営農指導、経済事業の重点化が急がれますが、何を優先して行うべきか、答弁願います。
 農水省研究会報告では独禁法適用除外にも触れていますが、元々この定めにはそれなりの歴史的理由が存在しています。しかも、現在でもすべての行為が適用除外ではありません。昨今の論調は、一方的に系統農協があたかも違反する行為をあえてしているかのごときであります。もちろん、明らかになった違反事件は消費者の信頼を失い、まじめな多くの農家組合員を裏切るものであり、看過できるものではありません。農水省は、今後どのような防止策を講じようとしているのか、見解をお尋ねします。
 また、系統農協の信用を損なう事件も、全農チキンフーズ事件、全農八女茶事件などが続きました。農協が組合員のためのものではなく農協のための農協になっているとの指摘もあります。JA職員の中にも、生活関連事業の推進などで疑問を感ずることもあると聞いております。一昨年の予算委員会での参考人質疑に、全農幹部は子会社の半減に取り組むと明言しています。現在、その進捗状況はどのようになっているのか、また農水省はこのことに関しどのような指導をしてきたのか伺います。
 国は、今後の農政における視点の中で選択と集中を掲げています。限られた予算の中で効率的、効果的な成果を導き出すために、食料の安定供給については四十万戸の担い手農家への支援を、また環境保全、循環型農業や、国土保全、多面的機能を発揮できる分野への傾斜配分になると考えます。一方、農協の理念は、一人は万人のために、万人は一人のためにであり、選択と集中と必ずしも相入れるものではありません。一連の流れと今回の法改正は、政府から農協への絶縁宣言であると思われますが、大臣の明確な答弁を求めます。
 系統農協は、この間の大型合併により、当初の目標であった全国一千農協構想を上回る合併を遂げ、五月現在では九百四農協と示されています。今後更に合併が進むことが予想され、三段階制についても既に大きな変化をしつつあります。大臣は、この動きの行き着く先に農協の将来像はどうなると予測をしておりますか。各県一農協が望ましいとお考えですか、あるいは全国の農協職員数はどの程度が適切と考えていらっしゃるか、お答えください。
 農協は農業者による自主的な組織であり、その構成員は農業者である正組合員が原則でありますが、実態は正、准の組合員資格が農協法十二条で用意をされ、正、准の区別をしています。また、平成十四年度の時点で正組合員が約五百十六万人であるのに対し、准組合員が約三百九十一万人と、全体の四三%にも上っております。正組合員は、出資者、利用者であるのと同時に農協の管理運営にも参画をするのに対し、准組合員は、出資者、利用者に限られています。これまであいまいな解釈を続け明確な位置付けを怠った結果、新しい形の協同組合運動に後れを取りました。しかも、実態として准組合員を除いては組合運営ができなくなっているのではないでしょうか。全組合員の中で准組合員の占める割合が全体の四割以上に達することについての認識と、農協の事業における准組合員の位置付けについてお伺いいたします。
 また、長野県のJA北信州みゆきでは、地域に開かれた組合を目指し、組合員の家族や地域住民も参加できる年代別、目的別の組合を新設する方針ですが、大臣はどのようにお考えか、お伺いいたします。
 最後に、過去の農業政策の総括についてお伺いいたします。
 現在、食料・農業・農村基本計画の見直し作業が農林水産省で行われております。これは、農政の基本的方向性を示す食料・農業・農村基本法に基づく同計画が、策定後五年をめどに見直されることを受けた見直し作業であります。正に従来の農政の抜本的転換と言える食料・農業・農村基本法の趣旨を真っ正面から実行するための見直し作業であります。その際、最も重視されているのが農業者や農協の自主性、自己責任であり、この農協法改正案もその延長線上の措置であります。
 しかし、例えば国内初のBSE、牛海綿状脳症の発生を契機に次々と明らかとなった重大な失政や、旧構造改善局の不祥事、さらには企業モラルの低下や消費者軽視、企業重視の行政の実態は、さきの大阪の府肉連の補助金詐欺事件でも明らかなように全く変わってないのではないでしょうか。農業者や農業団体の自己努力、自己責任を言うなら、こうした消費者軽視、企業重視の過去の農政を率直に反省し、謙虚にこれを評価していく姿勢も同時に求められているのではないでしょうか。
 農林水産大臣の御見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣亀井善之君登壇、拍手〕

○国務大臣(亀井善之君) 郡司議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、牛肉在庫の保管・処分事業についてのお尋ねでありますが、消費者の不安を払拭するための本事業が悪用され、行政、食肉業界に対する国民の信頼感を揺るがすこととなったことは誠に遺憾であります。今回の事件については、捜査当局の事実解明に全面的に協力することが真相解明につながると認識しております。捜査の状況を見極めたいと、このように考えております。
 また、農水省といたしましては、国民の信頼を回復するため、消費・安全局の創設など、大幅な組織改正や職員の意識改革の徹底により、消費者重視の政策決定システムの構築や適正な食肉行政の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 次に、農協の行政からの中立及び日本型農協の農協の特質についてのお尋ねでありますが、これまで行政は農協系統と連携して政策を推進し、一定の成果を上げてまいりましたが、農協系統の自主的な努力や取組を妨げてきた面があったことは否定できないと考えております。このため、今後は両者が安易な相互依存しないようにすることが肝要と考えております。
 また、農協の事業・組織等の在り方については、農業者の自主組織であります農協が、農協法の下でその本来の使命を発揮すべく、自ら決していくのが基本であると考えております。
 次に、農協への補助金と政治的中立の確保についてのお尋ねでありますが、農協系統を経由して農業者に交付した補助金は、平成十三年度の場合、水田農業経営確立助成等補助金を始め五種類で、金額は合計で三千五百六億円となっております。
 また、政治活動については、農協は他の民間法人と同様に、公職選挙法等に反しない範囲で許容されております。しかし、農協には思想や信条の異なる様々な方が組合員として加入していることを踏まえれば、誤解や混乱を招くことのないよう節度を持って行うべきものと考えております。
 次に、分権型農政への転換及び営農指導事業等の重点化についてのお尋ねでありますが、我が国の農業は多様な自然・経済条件の下で営まれており、今般の農政改革においても、意欲的な生産者・地域を後押しし、地域自らの発想により創意工夫が発揮される政策体系を構築してまいりたいと、そのように考えております。
 また、農協は、営農指導や経済事業など、農業関連事業に基本的な存在意義があると認識しております。これを第一として改革していくことが重要と考えております。
 次に、独占禁止法違反の防止措置についてのお尋ねでありますが、農林水産省においては、農協指導に係る事務ガイドラインを改正し、公正取引委員会との連携を図るとともに、行政検査においても、独占禁止法違反の有無を平成十六年度の統一検査事項に定める等の措置を講じたところでありまして、こうした取組により、独占禁止法違反が生ずることのないよう対処してまいります。
 次に、全農の子会社数半減の取組についてのお尋ねでありますが、全農においては、平成十七年度末を目標に子会社を半数程度に再編することとしております。十五年度末までの累計で四十一社の子会社の再編を行ったところであります。農林水産省といたしましても、全農に対する業務改善命令の中で子会社の大幅な整理統合を命じているところでありまして、これが確実に実行されるように指導してまいりたいと、このように考えております。
 次に、選択と集中の問題についてのお尋ねでありますが、今後の農政は、農業の重要な役割が一層効率的、効果的に発揮されるよう、選択と集中の観点から真に必要な支援を重点化することを基本として取り組んでまいります。
 農協改革においても、農協系統自らが選択と集中により事業範囲を見直し、農業者、消費者に選択してもらえる農協に脱皮することが基本であります。今回の改正法案は、このような農協系統による改革を支援することにより、農業の構造改革を加速化しようとするものであります。
 次に、農協の将来像についてのお尋ねでありますが、農協系統組織では、広域合併の促進に取り組んできた結果、現在では農協数は九百四、職員数は約二十六万人にまで減少するなど合併が進んでおります。農協組織の将来像につきましては、組織内において十分に話し合い、自らが合併構想を策定することが必要でありますが、農協と組合員の結び付きの希薄化などを招かないよう十分配慮する必要があると考えております。
 次に、農協の准組合員についてのお尋ねでありますが、准組合員制度は、農協の地域事業体としての性格も踏まえ、地域住民の利用の道を開くものですが、近年、この准組合員の割合が大きくなってきております。これは、農家数が減少する一方で、各農協が地域住民の准組合員加入を促進しているためと、こう認識をいたしております。
 また、御指摘のJA北信州みゆきは、組合員の家族や地域住民が参加できる組合内組織を新設するとのことであり、准組合員の声を組合運営に取り入れる試みとして意義あることと考えております。しかし、准組合員の増加により正組合員のメリットが損なわれることのないよう十分配慮する必要があると考えております。
 最後に、過去の農業政策の総括についてのお尋ねでありますが、BSEの発生等を契機に、それまでの農業施策の大胆な見直しを行い、消費者サイドに大きく軸足を移した農政の展開に努めてきたところであります。特に、冒頭申し上げましたように、農林水産省の組織を見直しをし、省内の産業振興部門から消費者行政部局を分離、独立をし、消費・安全局を設置したほか、消費者の方々と意見交換を重ねるなど、開かれた透明性のある政策決定の過程を作り上げるよう努めてきたところであります。
 現在進めております農政の改革においても、消費者の視点を重視をし、国民に開かれた議論を進め、新しい食料・農業・農村基本計画の結実をさせてまいりたいと、このように考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

第159回通常国会本会議第25号(2004.5.28開会)代表質問